◆タイプ 対面販売型 ◆勧誘方法 テレコール、DM、キャッチセールス、TVCM ◆ターゲット 若年層 ◆クーリング・オフ 可能
外国語による会話ができることを目的とする学校(以下、英会話学校)を運営している業者は、東京都内だけでも1500社以上ある。英会話学校を取り締まる法律や条例はなく、簡単に教室を開くことができるために事業者が急増した結果だ。その大部分は普通にまじめな業者であるが、中にはトラブルの絶えない業者もある。
大手英会話学校・NOVAも多額の前金を支払わせたものの、解約に応じないトラブルがあった。
大手でさえもトラブルのある英会話学校だが、主な手口は以下のような感じだ。
ケース1
Aさんは、雑誌に掲載されている英会話学校の広告を見て、ちょっと興味を持ったので資料を取り寄せてみた。それから数日後、1本の電話がかかってきた。
「現在キャンペーン中なので、今始めれば入会金が無料になります。すぐにでも始めたほうがよいですよ」
と言われた。当然、内容も知らないのに契約するのもなんだからと詳しい説明をしてもらうことにした。
この英会話学校のカリキュラムはフリータイム制で、自分が都合のつくときに予約を入れればよいというものだった。予約もいつでも空いているので問題ないとのことだ。講師もネイティブスピーカー(=英語を母国語としている人)で、少人数制なのでほとんどマンツーマンで生きた英語を学ぶことができるとのことだった。
英語が話せれば就職(転職)にも役立つし、異性にモテる……などと英語を習得したときのメリットも販売員は説明をした。
レッスンは固定スケジュールにすると月間5000円になる。ただし、フリータイム制のコース契約にすれば1レッスン2000円程度で、好きなときにレッスンを受けられるのでお得だということだ。
Aさんは考えた結果、発音レッスンを含めた150レッスンを58万円で2年契約した。
通いはじめのころは予約も取れるし少人数制で、レッスンも楽しみながら学んでいけた。
ところが、数ヶ月するとだんだん予約が取れなくなってきた。2年間で150レッスンということは、1ヶ月で6レッスンをこなさなければならないのだが、予約がまったく取れずに半年で15レッスンしか受けられなかった。さらに、フリータイム制だから講師はその都度変わる。教育方針もばらばらなので混乱を来した。
ケース2
突然、学生のB君あてに自宅に電話がかかってきた。かわいらしい女性の声だ。
「アンケートに答えると、旅行に半額で行けます。しかも、会員の人がいれば友達も半額になるし、社員旅行でもOKです」だとかいうような会員権についてのものだった。
この会員権は、現在キャンペーン中でアンケートに答えれば無料で会員になれるそうだ。
とりあえず話だけでも聞いてみようということになり、待ち合わせた場所に出向いた。しばらくすると、女性が声をかけてきた。
「B君ですね?」
いくつかアンケートに答えて欲しいといわれ、さらに事務所が近くにあるのでと、事務所につれてこられた。
販「英会話は得意ですか?」
B「そうでもないですけど」
販「海外旅行に行くのなら、英会話を話せたほうがいいよね?」
B「でも、英会話ができる友人がいるから問題ないよ」
販「確かにそうだけど、今は中学生でも英会話の勉強をしているのよ。それに、英語を話すことはサラリーマンの常識にもなっているでしょう?」
B「はあ……」
販「カノジョと海外旅行に行って一緒に歩いていて、外国人に英語で話したらかっこいいと思うだろうな」
みたいなことを言って、英語が話せるとこんな特典があるというような話をする。
その気がなくても、誘われれば大きな契約もつい勢いでしてしまうものだ。
英会話学校の300回コースで80万円の2年契約をした。頭金を払えば、あとは月々2万円のクレジットでOK。
ところが、まもなくB君は怪我をして入院してしまった。この間は英会話学校に通えないので解約を申し出た。しかし、返金には応じないという。さらに、クレジット会社に支払い中止の申し出をしたところ、クレジット会社は英会話学校に全額支払ってしまっているので、クレジットの解約も不可能だと言ってきた。
※ ※
東京都消費生活相談情報オンラインシステムのデータによると、英会話学校とのトラブルで最も多い原因は「契約・解約」に関する項目だ。これもまた、複数回数のレッスンを前払いでおこなったものの、中途解約ができないケースが多い。また、年代は20代が47%、30代が13%と、若年層だけで3分の2を占める。職業別で見てみると給与生活者が38%、学生29%。契約金額は50〜80万円が多い。給与生活者ならまだしも、学生がこれだけの額を本当に払えるものだろうか。
だからこそクレジットで分割払いにするわけだが、クレジット契約の場合はクレジット会社がお金を英会話学校にあらかじめ支払ってしまい、取立てはクレジット会社と消費者間の問題になってしまう。仮に英会話学校が閉鎖したとしても、支払いは続く。
これらのトラブルの主たる原因は、まとめて契約をさせることにあるのは言うまでもない。その英会話学校の教育方針、通学環境が自分に合っているかどうかなど最初からわからない。言われるままに長期多数回を一気に契約してしまう傾向がある。自分の計画に照らし合わせてから計画を立てて契約をしなければならない。「かっこいいから」「英語を話せれば箔がつくから」とかいったあいまいな理由では、そもそも長続きしないだろう。
一方、「まとめて前払いしてしまった以上は、途中で辞められない」と、継続する動機付けにもなるという人もいることを付け加えておく。
!英会話学校の選び方
まずは、手当たり次第にパンフレットを入手することにする。そのとき、業者からの説明は受けないようにする。
そして、パンフレットの中身を検討する。
東京都では消費生活条例で、外国語教育サービスのパンフレットに以下26項目の表示を義務付けている。したがって、都内の英会話学校のパンフレットには必ず記されている。また、都外在住者でもチェックしておくべき項目として覚えておいて損はない。
事業主体・施設に関すること
- 事業主体の名称……学校を運営している会社の名前
- 事業主体の所在地及び電話番号
- 事業主体の代表者氏名
- 指導場所となる施設の名称……英会話学校の名称
- 指導場所となる施設の所在地及び電話番号など……「○○教室」といった、分校(支店?)の住所と電話番号
- 指導場所となる施設の交通の便……「駅から徒歩○分」といった表現
サービスに関すること
- 教授する言語の種類
- 講師の数……ネイティブスピーカー(教える言語を母国語とする人)が何人いるかも表示しないといけない。
- レベルチェックの方法・進級制度
- レベル別・目的別コース
- 講座の形態……固定スケジュール制とフリータイム制に大別できる。詳細は後述するが、それぞれのメリットとデメリットを吟味する必要がある。
- クラス定員……プライベート、セミプライベート(4,5人)、少人数制(20人程度)などの各クラスの実際の定員が表示されている。
- 1講座の時間
- 開講時間帯
- 募集の時期
- 受講期間
- 休校日
費用に関すること
- 入学金、受講料、教材費など……受講者が負担する費用のすべてを明記しなければならない。
- 消費税の負担
- 支払方法など……全額一括払いやクレジット契約、月謝などがある。月謝の場合は一括払いよりも割高だが、短い期間で学校を変えることができるメリットもある。
- クーリング・オフ制度……英会話学校が独自にこの制度を定めている場合は、その条件を確認する必要がある。
- 中途解約……解約ができるか、解約した場合に解約料はどのくらいかかるのかをあらかじめ確認しておく必要がある。中途解約には一切応じない学校も多い。
- 契約書面などの交付
その他の事項
- 講座の体験・見学に関すること
- 相談窓口に関すること……学習上・契約上の相談がある場合の窓口
- 表示有効期限……パンフレットに書かれた費用の有効期限
これらを吟味した上で、3つのポイントを再確認してから決定しても遅くない。
ポイント1 受講制度の選択
固定スケジュール制
メリット:能力に合ったクラスが選択できる。
講師、カリキュラムが決まっているので学習成果を確認しやすい。
デメリット:日時が固定しているので、勤務時間が不規則な人には向いていない。
休むと同じクラスの人と比べて進捗が遅れる。
フリータイム制
メリット:都合のよい日・時間が選択できる
デメリット:希望どおりに予約が取れないことがある。
契約したレッスン回数を期限内に消化できないことがある。
ポイント2 受講期間の回数
- 長期、多数回の契約は避ける。
- 自分に適した期間・回数をじっくり検討する。業者に惑わされないようにする。
ポイント3 中途解約の条件・手数料
- 中途解約ができるのかできないのか
- 中途解約ができる場合、条件が特定の理由(入院など)に限られていないか
- 解約にかかる費用
ここまでしっかりやれば、英会話学校のトラブルもたいてい防げるだろう。
契約はしっかりできても、しっかり勉強しないことにはどうにもならないが……。
参考資料:ビデオ『ウイッキーさんの外国語スクールえらび!』東京都消費生活センター活動支援教育係/発行
パンフレット『あなたに合ったスクールえらび』東京都生活文化局消費生活部指導課/編集・発行 1997
関連記事: 「キャッチセールス」
「資格商法」
| / HOME / 悪徳商法☆インデックス / 一覧 / 英会話学校トラブル |